ダイヤモンドワイヤもソーワイヤと同じく、シリコンやサファイアなどのインゴットをウエーハ状にスライスする際に使用されます。
ソーワイヤがSiCスラリーを用いる従来の遊離砥粒加工に使用されるのに対し、ダイヤモンドワイヤは、スラリーを使用しない固定砥粒加工に使用されます。
遊離砥粒加工のイメージ
固定砥粒加工のイメージ
(1)加工時間が大幅に短縮されます。
これは最も硬いダイヤモンドの砥粒をワイヤ上へ直接固定させているため、 加工物を引っ掻きながら切削し、加工効率が非常に良い為です。
(2)環境への負荷が少なくなります。
スラリーを用いずに加工できるため、切り屑でさえリサイクルすることが出来ます。
加工効率が良いのでワイヤ使用量が大幅に削減できます。
(3)ウエハへの残留ダメージが少なくなります。
遊離砥粒加工はSiCがワイヤと加工対象物の間で転動して少しづつ削っているため、 切り出されるウエハにも垂直方向へSiCの転動ダメージが残ります。
一方、固定砥粒加工では、切り出す切削方向を引っ掻いて進むため、ウエハの面方向へのダメージは少ないです。
弊社のダイヤモンドソーワイヤは、砥粒の固定方法の違いから電着型とレジン型の2種類からお選びいただけます。
電着型は、ダイヤモンド砥粒の保持力に優れるため、高い切削能力と高寿命であることが特徴です。
レジン型は、柔らかいレジンで砥粒を固着させているので、切り出したウエハへのダメージがより少なくなります。
電着型 | レジン型 |
---|---|
・切削能力が高い。 ・高寿命。 ・硬質材の加工に最適。 |
・加工物へのダメージが少ない。 ・電着型よりも安価。 ・軟質材の加工に最適。 |
電着型では、SiC・GaNなど硬い材料の切削に有利です。
レジン型では、パイプ、石英、樹脂などの特殊形状、特殊材料の切削に適しています。
レジンクッション効果によりウエハ表面のダメージが軽減され、より鏡面になります。
図:電着型・レジン型 切削の模式図 | 写真:単結晶シリコンウエハ 切削面の違い |
ワイヤ径(um) | 破断力(N) |
---|---|
50 | 9 |
80 | 23 |
100 | 33 |
120 | 46 |
180 | 94 |
ダイヤ径(um) | D50(um) |
---|---|
6-12 | 7.5 |
8-16 | 9.2 |
10-20 | 13.4 |
20-30 | 20.6 |
40-60 | 34.4 |
ワイヤスペック | DSW外径(um) |
---|---|
Φ80um+8-16um | 95 |
Φ100um+10-20um | 120 |
Φ100um+30-40um | 170 |
Φ160um+20-40um | 200 |
Φ180um+40-60um | 250 |
上記組み合わせ以外にも、ご要望に応じてカスタマイズ可能です。
数千ショットに及ぶ社内スライス実績を基に、最適なワイヤ仕様を選定致します。 ワーク(切削物)を提供いただければ、試加工の依頼も検討致します。
社内加工実績
SiC |
石英 |
Si |
サファイア |
・エンジニアリングプラスチック<(PEEKなど)
・各種強化プラスチック(エポキシ強化樹脂など)
その他、特殊なものの加工もお受け致します。